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劇場版BLAME!は光と音のアトラクションだった【映画感想】

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 5月20日より公開されたアニメ映画『BLAME!(ブラム!)』を観てきた。

 SFマンガ界の鬼才、弐瓶勉が原作のアニメ化企画第二弾、シドニアの騎士から更にパワーアップした3Dで表現される本作の感想を、ネタバレしながら書いていこうと思う。

 

まるでアトラクションのような映画

 重力子放射線射出装置を撃ったときの地響きのような腹の底を揺らす爆音。あるいは金属同士が擦れ合い、地面を削り取る勢いで進む四脚ロボットの甲高い足音。現実ではなかなか耳にしない戦いの衝撃音が、この映画には余すところ無くちりばめられている。前作シドニアの騎士でも音響のこだわりについてかなり高評価を得ていたが、その実力は今作でも健在だ。よくある安っぽいSEなんか比ではない、現実離れした効果音を、間違いなくここに存在すると思わせる、説得力のある音選びと音響技術。思わず耳を奪われてしまう素晴らしい効果音だった。これだけで私は大満足だ。やっぱ映画は音だよね!

 しかし音だけじゃない。光だ。弐瓶勉が描く巨大建造物や機械には大抵ビカッと光る。薄暗くだだっ広い世界で、人工物の明かりがコントラストを作り出し、画面はまるで絵画のような厳かさを持つ。作中はだいたいの場所が暗く不安を掻き立てられ、だからこそ光は効果的だ。その輝きは安心感をもたらすこともあれば、巨大な敵の目玉だったりもする。3D作品だからこそできる、細やかな光の演出を劇場の大スクリーンで見るともう圧巻だ。満足度が尋常じゃない。

 今作はかなりの場面で戦闘が描かれている。人間ではとても敵わないような敵と挑まなければならない苦悩と、無慈悲に死んでいく仲間たち。映像と音も相まって、五感に訴えかけている恐怖の感情。数少ない人類がバンバン死んでいく悲壮感。手に汗握る展開の連続に、心拍数はどんどん上がっていく。映画を観終わった頃には、アトラクションを楽しんだ後のような満足感を得ることだろう。

 

3Dなのにキャラがめっちゃかわいい

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  もう一つ、この映画の魅力をあげるとすればキャラクターの描写だろう。

 上記の画像はヒロインの「づる」が、自分を助けてくれた未知の存在「霧亥」に言われるがまま、恐る恐るヘルメットを取るシーン。可愛いすぎでは?

 シドニアの騎士一期の頃は登場人物がマネキンなどと揶揄されていた3Dアニメ業界が、よもやこれほどキャラを可愛く表現できるようになるとは。

 彼女だけでなく、長身美女のシボさんや片腕銃なサナカンなど、美人を上手く描けている。よく動くぶん、普通のアニメよりも可愛く感じるかもしれない。萌え豚が蔓延るアニメ産業にあって、女性キャラを可愛く描けるかどうかは死活問題なので3Dアニメとして一定水準をゆうに越したキャラ描写は新たな時代を切り開くトリガーとなるか!? そんなことはどうでも良くて、づるちゃんが可愛いので私はハッピーです。

 3Dでアニメを作るときに障害となることは幾つかあるが、その一つが「おっぱい硬すぎ問題」である。それを実は今作、克服している。すごく、おっぱいが柔らかいのだ。どう柔らかいかは、ぜひ劇場に足を運んで確認して欲しい。もう観た方、あそこすごくよかったよね。しょうじき一番印象に残ったシーンです。

 

作者の趣味全開

 「人は作品に感動するのではなく、それを描いた創り手に感動するのだ」

 という言葉がある。BLAME!はまさに弐瓶勉の描きたいものが詰め込まれた、彼の人格が埋め込まれた作品だった。原作をそのままなぞった映画ではなく、いま3Dができること、決められた時間でできる範囲の物語、という前提の上で原作が再構築され、色んな設定を改変・カットしながらも一つのまとまった物語を作り出す。商業作品として必ず成功するプラットフォームを構築しながらも、その周りを趣味で固めるような大胆さ。きっとこの作品をまとめるのは非常に大変だったと思う。その努力に私は感動するし、その情熱に尊敬の念を抱く。広大な建造物と、無機質ながら恐ろしい機械。薄汚れたバトルスーツに、強烈な威力の銃。それらの要素を繋ぎ合わせて、人の心を打つ素敵な映画だった。